篠ノ井総合病院創立40周年記念誌

・・・海路に日和あり・・・
創立40周年おめでとうございます。平成8年4月から8年半、篠ノ井総合病院循環器科に勤務させて頂き、平成16年10月に篠ノ井布施高田で“ゆうき内科クリニック”を開院致しました。

平成8年4月から星野先生、島田先生とともに循環器診療に携わり、勤務の半分の時間をカテ室で費やしました。カテーテル治療はバルーンによる冠動脈拡張術に続き、ステント留置術が広がり始めた時代でした。当初はステントシステムの病変通過性が悪いためステントを別のバルーンに載せ替えて治療し、これが手作業のため苦労していましたが、技術革新で次々とよいシステムが開発され、楽に治療できるようになりました。また、血管造影室が狭く、シネは古く画像が不鮮明でカテーテル治療に不適でしたが、平成11年には念願の新しい心カテ室が完成しました。広い部屋にデジタルアンギオが入り血管造影が鮮明な映像となり、カテーテル治療が格段に行い易くなりました。平成17年からは循環器内科医が増員され、今後はさらに第2カテ室ができるとのことで益々の御発展を期待しています。

さて、私は篠ノ井総合病院に勤めて、“看護”に対してのカルチャーショックを受けました。それまで勤務してきたほとんどの病院では医師の指示に基づき看護師が動くシステムでした。しかし、篠ノ井総合病院では看護師による看護診断が確立していて、週1回カンファランスがあり、医師と看護師が患者さんの治療方針につき対等の立場で積極的に議論していました。一つの山に複数の登山ルートがあっても登れば頂上に達するように、医師の見方、看護師の見方は違っていても、最終的には患者さんの幸福をめざしていくように思いました。医師、看護師は医療の両輪であり、医師のみ回転しても前に進まず、協調して働くことが重要であることを改めて認識しました。“看護”に誇りを持って仕事されている看護師の方々は篠ノ井総合病院の宝だと思います。

また、篠ノ井総合病院に勤務するまでは長く循環器専門病院に勤務していたため、病院での当直が私にとっては一般内科・小児科・外科系の卒後再研修となったように思います。風疹や流行性耳下腺炎などの患者さんはそれまで診たことがありませんでした。小児科の投薬についてもordering systemのサイコムがあり小児科の先生のorderを参照して心配なく処方することができ勉強になりました。当直は“南長野”中の急患が全て集まってくるようで殆ど眠れない勤務が当たり前でした。多科に渡る患者さんを診なければいけませんでしたが、専門外で困った時には、on call体制で専門医に駆けつけて頂き大いに助かりました。翌朝まで専門外の患者さんを診るストレスから解放されることは救いでした。この素晴らしい篠ノ井総合病院の救急体制が維持されますよう願っています。今後とも病診連携でお世話になりますが、当院の母船である篠ノ井総合病院のさらなる御躍進を祈念致します。