トンガ海底火山噴火

2020年1月15日、トンガ海底火山が大爆発を起こした。その威力は広島に投下された原爆の数百倍であったとNASAが報告している。噴火の規模は、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火に匹敵し、噴火の規模を示す火山爆発指数(VEI、0~8の9段階)でピナツボ火山と同じ6に相当すると言われている。ピナツボ火山の噴火では、噴煙は高度26kmに達し、1500万トンの二酸化硫黄が成層圏に入ったとされている。二酸化硫黄は大気中で硫酸エアロゾルとなり太陽光を反射するため、地表に達する太陽光が最大で5%減少し、北半球の平均気温が0.5~0.6度低下、地球全体で約0.4度低下、数年間にわたり低気温が続いた。1993年、わが国でも冷夏により米が不作となり、タイ米を緊急輸入する事態(平成の米騒動)となった。今回のトンガ海底火山噴火による二酸化硫黄放出量は約40万トンと推定され、ピナツボ火山噴火による放出量(約1700万トン)の40分の1程度とされている(海底火山の噴火だったため、火山性ガスが海水に溶けて大気中にあまり出なかった可能性が考えられている)。気候に影響を与えるには少なくとも500万トンの放出量が必要とされており、今回のトンガ海底火山の噴火による気候への影響は限定的とされている。

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