マイクリニック、マイカルテ

平成16年10月18日、長野市篠ノ井布施高田に「ゆうき内科クリニック」を開院いたしました。昭和58年に信州大学を卒業し、勤務医として20年の節目を機に開業しました。専門は内科・循環器科で、前任の厚生連篠ノ井総合病院では、虚血性心疾患に対する心臓カテーテル検査や経皮的冠動脈形成術などを担当し、循環器疾患の診療に充実した日々を送っていましたが、自分自身の医療を実現するためには、勤務医では限界があると感じ、自分に対する新たな挑戦として「マイクリニック」を作りたいと考えました。

外観は19世紀、中身は21世紀のクリニックとして、落ち着いた空間で最新の医療を行いたいと考えました。建物の設計は副院長の親友である建築家、早草睦惠氏にお願いしました。建物の東半分に高い三角屋根を設け天井を高くとり、明るい開放感のある待合室としています。また、待合室の横には緑豊かな庭を設けています。病院と同じ診療レベルを維持するため、検査機器は、X線、超音波のほか血液・生化学検査、HbA1c検査、PT-INR検査、ABI検査、アプノモニターまで広範囲にそろえ、検査結果をその場で出して説明できるようにしました。

篠ノ井総合病院循環器科では病歴サマリー・検査レポートなどは自作データベースにてPC管理していましたが、カルテは手書きで、常々、すべて電子化したいと思っていました。クリニックでは電子カルテを導入し、診察が終わると、診療内容を記したカルテをその場で印刷、ファイリングして患者さんに手渡し、「マイカルテ」としています。患者さんに読みやすい活字で情報を提供することができ、データの保存も確実にできることは、電子カルテの威力だと思います。また、カルテを患者さんにお渡しすることで情報開示となり、診療の内容を後で見直してもらうことができ、さらに患者さんが救急で他院を受診した際に、マイカルテを持参して頂くことで当院での診療経過・投薬内容が分かり診療に役立つと思われます。最初は患者さんが全員新患なので、入力する内容が多くて手間取り、診察が終わり次の患者さんの診察までにカルテを完成させなければならないので大変でした。しかし、患者さんが一巡して、電子カルテの入力操作に慣れてくると、むしろサーバーシステムの反応の遅さやプリンターの印刷の遅さにいらつく程になりました。情報開示やインフォームド・コンセントのために、電子カルテは必須のツールと思っています。

心電図、胸部X-p、心エコー図検査などは画像サーバーに保存するようにしました。電子カルテと連動し、直ぐに画面で結果を説明しています。過去の画像を探す手間が省けて快適です。数年のコンピューター技術の進歩のおかげで良いシステムを組むことができたと思っています。ただし、ハードは安くなったのですが、ソフトが高価なのが難点です。

開業して9ヵ月が経ちましたが、理想のマイクリニック、マイカルテを求めて努力したいと思っています。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
(更級医師会報)

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