税に関する高校生の作文

平成元年4月1日から消費税が徴収されるようになった。その後、消費税率は3%、5%、8%と段階的に引き上げられ、平成29年4月1日からは10%になるという。商品を買えば消費税を払うことは知っていたが、それ以外の税については、自分が払っていないこともあり、考えたことも意識したことも無かった。直接税は自分から払わなくてはいけないので、税を払っているという実感がある。しかし間接税は物を買ったりするだけで無意識に取られているため、細かい金額や年にいくら払っているかなどあまり意識されていない。そういう意味で消費税は国民から取りやすい税金であるが、安易に税率を上げれば、みんなが本当に必要な物しか買わなくなり、景気が悪くなり税収が下がることになる。消費税は諸刃の剣であり、消費税率を上げることには熟慮が必要と思う。

さて、今後の消費税増税分は福祉目的に使うとのことだが、社会保障関係費は約32兆円で一般会計歳出額の33%にも及んでいる。ヨーロッパでは高負担高福祉となっている。租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率(2012年)は、デンマークでは67.8%、フランスで65.7%などと高くなっている。しかし、年金や医療などの社会福祉が充実し、生活費さえ負担できれば生活出来る。収入が100万円あっても70万円の税金を取られて、30万円しか残らないくらいの高負担であっても、みんな納得して払っている。国民負担率は日本では40.5%、アメリカは31.1%となっている。今の日本は中負担中福祉であり、ヨーロッパのように生活費だけでは生活することは出来ない。アメリカは低福祉低負担で医療・介護・年金は民間保険で自己責任となっている。社会保障については、ヨーロッパの様に高福祉高負担とするのか、アメリカの様に低福祉低負担とするのか、国民が選択して行かなくてはいけない時期にきていると思う。

国の財政について驚いたことに、日本では一般会計歳入額の38.3%は借金(公債費)であり、所得税、消費税、法人税などの税金は国の歳入の57%にしかならない。一方、歳出額の24.3%が国債費であり、借金の返済にあてられている。借金を返すために借金を繰り返し、国債費がさらに増えてしまう自転車操業状態である。公債費を除いた歳入と歳出の収支であるプライマリーバランスの赤字が続けば、最後には国家予算が組めなくなり、国が破産してしまうのではないかと不安になる。国民の血税を無駄なく社会に生かすために、無駄のない、効率的な税の運用が必要であると思う。我々の世代も、日本の将来の為に、税金やその無駄遣いについて日頃から考えて行かなくてはいけないと思った。
(長野高校2年:結城桜)

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