人口ボーナス期から人口オーナス期へ

人口ボーナス期には生産年齢人口(15歳~64歳の人口)が、それ以外の従属人口(0~14歳、65歳以上の人口)の2倍以上ある状態で経済成長が促進されます。一方、人口オーナス期には生産年齢人口が減少し、従属人口が増加する状態で、経済成長を妨げられます。わが国は戦後、「人口ボーナス期」となり高度経済成長を達成しましたが、平成になり少子高齢化が進み、「人口オーナス期」を迎え、低経済成長となっています。平成22年、わが国は人口の21%以上が65歳以上を占める超高齢社会に突入し、GDPは中国に抜かれ世界第2位から第3位に転落しました。そして令和の時代には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護・年金などの社会保障費が急増する「2025年問題」を迎えようとしています。

効率性重視の市場至上主義が世界中に格差をもたらしています。わが国でも「一億総中流」社会から、「勝ち組」と「負け組」の二極化した格差社会に移行しています。倫理なき資本主義が世界を貪り、地球環境を破壊しています。強者のみでは社会は成立しません。英国の経済学者アルフレッド・マーシャルがケンブリッジ大学の教授就任講演で語ったような「冷静な頭脳と温かい心( cool heads but warm hearts )」を持ち、共存共栄する「持続可能な社会」を目指すことが求められています。