コロナ禍の受診控えはやめましょう

2021年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳定年時代が始まりました。健康寿命(2016年公表)は、男性72.14歳、女性74.79歳とされています。数字の上では70歳で定年となり僅か数年でフレイル、要介護状態が訪れることになります。働けるだけ働き、年金を貰う頃には要介護状態となってしまう悲劇は是非避けたいものです。

そのためには、生活習慣病の予防に努め、がん、心血管病などを起こさないことが必要条件となります。しかし、COVID-19が間接的にも寿命を短くするかもしれません。

米国では、昨年コロナ禍のため何十万人ものがん検診が延期され、検査・治療の遅れにより今後10年間で通常より1万人多く死亡すると予測されています。わが国においても新型コロナウイルス感染拡大に伴い、がん検診の受診者が減少しています。2019年1~7月のがん検診受診者数は約240万人でしたが、2020年同時期には約110万人まで激減し、2020年1年間では例年の3割減となると見込まれています(日本対がん協会)。

早期発見・早期治療ががん治療の原則ですが、受診・発見が遅れたために、今後数年間で進行がん患者やがん死亡者が増加することが懸念されています。COVID-19の死亡者数よりもがん死亡者数が増えてしまうとすれば、何と皮肉なことでしょう。

各医療機関では医療機関向けガイドラインに基づき十分な感染対策を行っていますので安全に受診出来ます。