高血圧治療の新常識
2025年8月に改訂された高血圧治療ガイドラインでは、血圧管理の目標値が大きく見直されました。年齢によって基準が緩やかに設定されていましたが、75歳以上の高齢者も含めて「130/80mmHg未満」が目標となりました。近年の研究により、高齢者であっても血圧を厳格に管理することで、脳卒中や心不全を予防し、健康寿命を延ばせることが明らかになったためです。治療の基本はまず生活習慣の改善です。減塩、減量、適度な運動、節酒、禁煙が必要となります。1日6g未満の減塩や5kgの減量により、血圧はおよそ5mmHg低下するといわれています。薬物療法では、カルシウム拮抗薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が第一選択として用いられます。これらで十分な効果が得られない場合には、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)という新しいタイプの強力な降圧剤を用いることで、より多くの方が目標血圧を達成できるようになっています。また、診察室では緊張によって血圧が高めに出ることも多く、実際のコントロール状態を把握するためには家庭での血圧測定が欠かせません。毎日の血圧の自己測定こそが、安心と健康を守る第一歩となります。
https://www.nagano.med.or.jp/general/project/topics/detail.php?id=1037
健康トピックス:長野県医師会:(2025年11月)

