高血圧症:血圧は120mmHg未満が長生き

長野県では健康長寿の更なる延伸を目指し、県民の健康増進を図る運動「信州ACEプロジェクト」1)を推進しています。ACEは生活習慣改善の重点項目、Action(体を動かす)、Check(健診を受ける)、Eat(健康に食べる)を表し、『世界一の健康長寿を目指す』という思いが込められています。

■心血管イベント抑制には厳格な血圧管理が重要

長野県の平成28年度県民健康・栄養調査によると、高血圧患者の割合は男性が43.2%、女性が34.6%、正常高値血圧者の割合は男性が12.7%、女性が10.9%であり2)、成人の2人に1人が高血圧症または予備群です(図1)。高血圧は糖尿病や肥満とともに、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患のリスク因子であり、これらの心血管イベント抑制には厳格な降圧治療が重要と考えられます。高血圧治療ガイドライン20193)に準拠し、通常の血圧目標値は収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧80mmHgですが、より厳格な降圧がイベント抑制に繋がることを示すエビデンスがあることから4)、忍容性が認められれば収縮期血圧120mmHg未満を目指す必要があります。目標値を達成していない場合は薬剤を追加することを検討したほうが良いでしょう。医師が厳格に降圧目標達成に向けて治療をしていくことで、患者さん自身も目標を意識して治療を継続してくれるようになります。

■食塩摂取量が多いため減塩指導が必要

厳格な血圧管理のためには減塩指導も欠かせません。長野県では漬物など食塩を多く含む保存食を食べる習慣があるため、塩分摂取量が多くなっています。高血圧治療の減塩目標は1日6g未満5)ですが、長野県の1日当たりの食塩摂取量平均値は男性が11.2g、女性が9.5gと大きく上回っています(図2)2)。減塩指導には食生活に関する質問票により簡便に塩分摂取状況が把握できる塩分チェックシート6)が有用です。初診時に患者さんご自身にチェックシートを記入いただき、ご自身の塩分摂取状況を認識してもらうことから始めます。また、血圧手帳などで薬の効果を実感してもらい、治療意欲を高める工夫も必要です。

出典

1)信州ACEプロジェクト https://ace.nagano.jp/(2021/4/5閲覧)

2)長野県:第2期信州保険医療総合計画 第4編, 平成30年(2018年)3月

3)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会・編.:高血圧治療ガイドライン2019. p.52-53, 2019

4)SPRINT Research Group.: N Engl J Med. 2015;373(22):2103-2116

5)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会・編.:高血圧治療ガイドライン2019. p.71-73, 2019

6)社会医療法人 製鉄記念八幡病院 理事長・病院長 土橋卓也先生ほか作成

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